INTERVIEW
インタビュー
#14 橋本拓哉
絶頂期を目前に見舞われた二度の悲劇
艱難辛苦を乗り越え、コートに戻る
「アキレス腱を切ったときって、痛みを感じない人もいるらしいんです。でも僕の場合は激痛で。『なんだろう、この痛みは』と思って立ち上がろうとした瞬間に、力が抜けた感じでフニャっとコケて。これは、ただ事じゃないなと思いました」
すぐさまドクターが駆け寄り、担架に乗せられてアリーナのバックヤードに運び出された。
「そこでドクターから、アキレス腱断裂です。最低でも全治8ヶ月と言われて。うわーって思って、何十年ぶりかくらいに涙がポロポロ出ました」
高確率でリングを射貫く3P、絶対的な自信を持つミドルショット、そして切れ味鋭いドライブ。このシーズンのタクヤは1試合平均13.4得点をあげ、スコアラーとして覚醒を見せていた。まさに、その矢先だった。
「本当に、絶望的な気持ちになりましたね。チームはチャンピオンシップに出られそうだったし、僕の調子も良くて、自分のプレイスタイルが確立しそうな時期だった。だから、余計にショックでしたね」
それでも復帰を目指し、辛いリハビリに真摯に取り組んだ。そしていよいよ復帰が視界に入ったころ、彼は再び悪夢のような出来事に襲われる。
「リハビリを経て、全体練習に入っていいという初日に、同じ箇所を再断裂したんです。切ったときは、感覚でわかりました。当然、その日の練習もしないまま。それまでずっと、バスケの感覚がなかったんです。やっと全体練習に入れるってときに切って、もう終わったなって」
胸に去来した絶望感は、最初のケガとは比較にならない。
「完全に切れずに部分断裂であれと、淡い期待もありました。でもまた手術だと言われたんで、そうかと……。アキレス腱を切ってパフォーマンスを落としたNBA選手がたくさんいると聞いて、僕はそれを2回連続でやっている。あきらめに近いみたいな気持ちもありましたし、もう不安でしかなかったです。そのころは、自分は将来どうするんだろうと考える時間にもなりました。当時26歳、今年で28歳になるんですけど、いろんなことを考えていましたね」
すぐに、気持ちを前に向けることはできなかった。長い入院生活。ベッドの上で、悶々とする日々をどれほど過ごしたことか。そんな孤独と不安に耐え、彼が下した決断。それはもう一度、コートに戻ること。そのためにどれほど辛い過程を乗り越えなければいけないかは、充分すぎるほど味わっている。それでもバスケが好きだという思いが、タクヤの背中を押した。
「2回目の手術とリハビリを経て、もちろん別メニューですが、ようやく練習ができるようになった。最初はボールを触って、シューティングができる。それだけでも、楽しかったんです。初めはジャンプができなかったので、手だけで打っていたんですけど、それでも楽しくて楽しくて。あらためて、自分はバスケが好きなんやなと感じました。それから歩けるようになって、最初はジョギングですけど、走れるようになって。そこから本格的にシューティングができるようになって、めちゃくちゃ楽しかったですね」
二度の大ケガから復帰は果たした
この先に、完全復活が待っている
「プレータイムの制限がかけられていますし、足の状態もまだ100%とはいえません。みんなが昨シーズンを戦っているころに僕はリハビリ中で、今シーズンが始まるまでには100%になってるやろうと考えていたんです。ここまで予想外な展開になるとは、思っていなかったですよ」
頭のなかにある自分のプレーのイメージと、身体が上手くつながらない。今はまだ、そんな状態だと言う。
「ディフェンスで足が一歩前に出ないこともあるし、思い切って跳ぶのをためらうこともあります。体が思うように動かない場面もあって、自分はこんなんじゃないと、フラストレーションを感じているところもありますね」
とはいえ、永遠とも思える雌伏のときを経て、復帰したよろこびを感じているのも事実。10月8日のホーム開幕戦で橋本拓哉の名前がコールされると、場内から温かい拍手が彼に降り注いだ。
「1年半ぶりぐらいに戻ってきて、やっぱりうれしかったですね。不安ではありましたけど、楽しみでもあったので。ファンの方も大きな拍手をしてくださったので、すごく嬉しかったです。リハビリ中からアリーナに来ていましたが、ベンチの後ろでジャージを着て座っているのと、ユニホームを着てコートに立っているのでは全然違いますね」
コンディションが上がってくれば、頭のなかのイメージと身体の動きが結びつき、必ずや以前の輝きを取り戻せるはずだ。今はただそれを、実戦の場で積み重ねていく。
「まずはキャッチアンドシュートを、取り戻そうと考えています。これは手の感覚次第なので、足は関係ない。ひとつのプレーの感覚を取り戻せば、ほかのプレーもつながってくるんじゃないかなと。それと同時に、プレースタイルを変えていかないといけない部分もあると思っています。今までは感覚でプレーするタイプでしたが、これからはピックアンドロールを上手く使って仲間を生かしたりとか。そういうことも、やっていかないとなと思っています」
変わる=変化ではなく、新たな要素も取り入れようとしている彼は、進化の過程にあるのかもしれない。
「以前のような活躍ができるかって言われたら、今はまだまだです。それでも今の自分ができることを探していて、それはチームディフェンスだったり、アシストであったり、そういった部分でできることはあるはず。足が完全に治りさえすれば、もっとやれるんじゃないかなと思います。あとは試合に出て、練習をして。それを積み重ねていって、という感じですね」
復活ロードに第一歩は記した。エヴェッサひと筋、通算8シーズン目。今季にタクヤは、なにを見せるのか。
「昔から見てくれている人はともかく、初めて見る人は『なんや、この14番』って思っているかもしれません(苦笑)。もっともっと活躍して、復活した橋本拓哉を見せたいです」
復帰は果たした。このあとには、エヴェッサの日本人エースの完全復活が控えている。そのときは、そう遠くはない。
PICK UP
見どころ
昨季はまさかの0勝4敗に終わった
信州にリベンジを!
前節のホーム開幕戦は、宇都宮ブレックスを相手に1勝1敗。昨シーズンのリーグチャンピオンを相手に結果はもちろん、GAME1は終盤までにあった2桁のビハインドを逆転勝利、GAME2もオーバータイムまでもつれ込んでの敗戦と、ともに今季に期待を抱かせる好ゲームだった。信州にリベンジを!
そして今節に迎える相手は、bjリーグ時代からしのぎを削りあった信州ブレイブウォリアーズだ。昨季は開幕から4節目に対戦し、前季にB1西地区の最下位だった相手にまさかの連敗。スタートダッシュを阻まれたばかりか、シーズンを通じては0勝4敗と苦杯を飲まされ続けた。
そんな信州は今季開幕から群馬クレインサンダーズ、アルバルク東京と対戦してともに1勝1敗。なかでも強豪A東京にはGAME1で12点差の勝利、敗れたGAME2も5点差だった。昨季はB1で初めて勝ち越して東地区5位になるなど、昇格3季目にして地力を付けてきた印象がある。
今シーズンは勝久マイケルヘッドコーチ(HC)が引き続き指揮を執り、中心メンバーもほぼ残留。継続性が、今季の彼らのひとつの強みだ。そんな信州のスコアリーダーは、今季1試合平均16.3得点をあげている#50ウェイン・マーシャル。bjリーグ時代にエヴェッサにも在籍したビッグマンで、211cmの長身と強固な体躯を誇り、インサイドを主戦場とする。
実際に信州の得点の多くはリング付近で生まれていて、ここを最大限にケアする必要がある。エヴェッサでマッチアップするのは、ともにチーム最長身である208cmの#24カイル・ハントと#54ショーン・オマラ。マーシャルのペイントエリアへの進入を防ぐことはもちろん、ゴールに近付かれたとしても最後までディフェンスの手を緩めず、イージーショットを許してはならない。
全員守備の徹底が勝利への近道
注目選手は新加入の#35鈴木
マーシャルのインサイドを警戒するあまり、アウトサイドのディフェンスが手薄になってもいけない。そこには2018-19シーズンの新人王、#77岡田侑大がいるからだ。昨季の3P成功率は36.4%と高い数値をマークし、今季も左コーナーからの3Pは100%の確率で沈めている。といってアウトサイド専任のシューターというわけではなく、ドライブで切り込んでのリングへのアタックも仕掛けてくる。さらに189cmと高さもあって、厄介な存在だ。注目選手は新加入の#35鈴木
また昨季に1試合平均16.5でチーム最多得点だった、#24ジョシュ・ホーキンソンも警戒すべき存在。208cmのサイズでインサイドでイニシアティヴをとるばかりか、昨季の3P成功率が36.8%と長距離砲もある。信州のここまでの平均得点は70.8と決して高くはないので、マーシャル、ホーキンソン、岡田を封じることが、勝利への近道だ。
そのために、エヴェッサがなすべきこと。それはチームディフェンスの徹底だ。今季からHCがマティアス・フィッシャーに替わったことで、今はまだ新しいスタイルのバスケットが浸透の過程にあることは否めない。実際に先週のホーム開幕節ではオーバーヘルプに行った隙をつかれて失点を喫するなど、連携面がまだ完璧でないのは確かだ。しかし、ディフェンス面を強く強調するフィッシャーHCのこと。先週の反省を生かして、さらにもう一段階ディフェンスの完成度を高めてくるはず。それも今節に勝利を得るための、大事なポイントである。
今節にエヴェッサの選手で注目したいのは、新加入のポイントガード#35鈴木達也。31歳とベテランに差し掛かりつつある年齢だが、バンビシャス奈良でデビューしたころから持ち味だったスピードは健在。そればかりか宇都宮とのGAME2では3本の3Pを決めるなど14得点をあげ、アシストも6本を記録と好調ぶりを見せつけた。彼がゲームメイクの軸を担うことができれば、#25ディージェイ・ニュービルの得点力をさらに生かせることにもつながるだろう。小さなマッチョマン、タツヤの躍動に大いに期待だ。
ROSTER
選手一覧
OSAKA EVESSA
-
エリエット・ドンリー
#3 SF/PF 198cm/91kg
1996年12月11日生 神奈川県出身 -
井手 拓実
#5 PG 174cm/68kg
1999年10月12日生 福岡県出身 -
星野 零志
#11 PG/SG 180cm/80kg
2000年1月22日生 大阪府出身 -
橋本 拓哉
#14 SG 188cm/88kg
1994年12月3日生 大阪府出身 -
竹内 譲次
#15 PF/C 207cm/98kg
1985年1月29日生 大阪府出身 -
合田 怜
#20 PG/SG 183cm/80kg
1993年8月31日生 大阪府出身 -
カイル・ハント
#24 PF/C 208cm/104kg
1989年10月31日生 アメリカ合衆国出身 -
ディージェイ・ニュービル
#25 PG/SG 193cm/95kg
1992年5月22日生 アメリカ合衆国出身 -
木下 誠
#31 PG/SG 185cm/80kg
1997年3月31日生 大阪府出身 -
アイラ・ブラウン
#33 SF/PF 193cm/107kg
1982年8月3日生 アメリカ合衆国出身 -
鈴木 達也
#35 PG 169cm/69kg
1991年3月30日生 東京都出身 -
ショーン・オマラ
#54 C 208cm/116kg
1995年9月5日生 アメリカ合衆国出身
SHINSHU BRAVE WARRIORS
-
#11
PG熊谷 航
173cm/70kg -
#12
SG栗原 ルイス
188cm/89kg -
#13
PFマシュー・アキノ
205cm/100kg -
#15
SG/SF前田 怜緒
191cm/83kg -
#24
PF/Cジョシュ・ホーキンソン
208cm/106kg -
#30
SGサイモン 拓海
190cm/81kg -
#31
SF三ツ井 利也
190cm/91kg -
#46
PG生原 秀将
182cm/80kg -
#50
Cウェイン・マーシャル
211cm/130kg -
#55
PF/Cアンソニー・マクヘンリー
202cm/101kg -
#77
PG/SG岡田 侑大
189cm/80kg
TIME SCHEDULE
タイムスケジュール
15日
- 13:30
- 当日券販売・CLUB EVESSA受付開始
- 13:50
- CLUB EVESSA プラチナム会員入場
- 13:55
- CLUB EVESSA ゴールド会員入場
- 14:00
- CLUB EVESSA レギュラー会員・スポンサー入場
- 14:10
- 一般開場
- 14:30
- チアアップエヴェッサ
- 16:10
- SPRINGS CHEERDANCE CLUB
- 16:14
- MC登場
- 16:17
- 箕面自由学園ゴールデンベアーズ
- 16:21
- BTパフォーマンス
- 16:25
- 両チーム選手入場
- 17:00
- 両チームスターティング5紹介
- 17:05
- TIP-OFF
- 11:30
- 当日券販売・CLUB EVESSA受付開始
- 11:50
- CLUB EVESSA プラチナム会員入場
- 11:55
- CLUB EVESSA ゴールド会員入場
- 12:00
- CLUB EVESSA レギュラー会員・スポンサー入場
- 12:10
- 一般開場
- 12:30
- チアアップエヴェッサ
- 14:10
- ainatty kids
- 14:14
- MC登場
- 14:17
- なにわ連(阿波踊り)
- 14:21
- BTパフォーマンス
- 14:25
- 両チーム選手入場
- 15:00
- 両チームスターティング5紹介
- 15:05
- TIP-OFF
16日
GOODS
グッズ情報
-
全選手の宣材写真を壁掛けのタペストリーにしました!
等身大タペストリー PET紙
¥10,000(税込)
-
大阪エヴェッサロゴステッカー3種
¥400(税込)
-
まいどくんステッカー3種
¥400(税込)
-
大阪エヴェッサロゴキーホルダー3種
¥400(税込)
-
まいどくんキーホルダー3種
¥400(税込)
FOODS
フード情報
-
おおきにミックスジュース/おおきにコーヒー
¥207(税込)
-
手羽トロ唐揚げ/マザーフーズ
¥600(税込)
-
炙り鶏ハラミ/ENT
¥500(税込)
-
たこ焼き/INFINITY
¥600(税込)
-
焼きそば/INFINITY
¥600(税込)
-
ポテト/エスポワール
¥500(税込)
-
各種サンドイッチ/エイチイー
¥430~(税込)
EVESSA SHRINE
エヴェッサ神社
おみくじにチャレンジしよう!
今節しか手に入らないレアグッズも続々登場!
おみくじ/¥200
15日 #33アイラ・ブラウン(HOME/2021-22)、16日 #15合田怜(HOME /2021-22)のシューティングシャツが各日1名様に当たる!
※景品は変更になる可能性がございます